(記事作成2020.4.10記事更新2020.4.10)
2019年10月26日。
会社から帰宅しシャワーを浴び、夕食を食べつつテレビを見ていた。
今日起きた事件やゴタついた政治論争を何気なしにボーッと聞き流す。
スタジオに招かれた有識者の退屈な政権批判が5分ほど展開された後、ニュース進行は天気予報のコーナーへと移っていった。
「高気圧に覆われて、穏やかで過ごしやすい週末になるでしょう。絶好のお出かけ日和です。」
お天気姉さんは、はっきりと「晴れ」と断言した。
休日が晴れるなら家にいる理由はない。
さっそく地図を広げ、以前から気になっていた場所へと向かうとしよう。
ぼくは夕食を胃にかき込み仮眠をしてninjaをひっぱり出し、一路、静岡県へと向かうのであった。
孤独な峠道
周りの住民がすっかり寝静まった頃、夜逃げのごとく身支度を整える。
昼間だと大渋滞の道路も深夜だとガラっガラ。
季節柄ちょっと肌寒いけど、バイクに乗るならこのくらいがちょうど良い。
まず向かうは、以前から気になっていた尉ヶ峰峠
(ルートはこんな感じ)
新東名の浜松SAで一休み。
スマートICもあるので、ここで一般道へと降りる。
国道362号線を経由して路地裏を抜け、峠道へと入る。
漆黒の狭路をヘッドライトの光源が切り裂いていく。
ガードレールに保護されてない箇所が多いので運転をミスったら・・・転落して死ぬだろう。
峠道を30分ほど走ったら、木々の間から陽光が放射状に差し込んできた
道すがら駐車場があったので、休憩も兼ねてしばし微睡む。
たまたま停めた駐車場からは浜松の市街地を見下ろすことができ、さらに遠くのほうには雄大な富士山の頂がひょっこりと覗かせていた。
さて、バイクを降りて散歩でもしてもようかな?
あぁ・・・
ninjaを降りて、ズンズンと山道を分け入ったらこんな看板が・・・
クマ鈴は持っているが、やっぱり怖い・・・
これ以上先に山奥に入るのはやめておこう。
再び愛車にまたがり、クネクネうねった狭路を進むことにした。
なんちゃってアドベンチャーなninja650
軽い車体のおかげ取り回しもよく、多少の悪路もなんのその!!
緑色の車体が映えるねー
先ほどの駐車場から15分ほど走らせたら、左手にひらけたスペースがあった。
ツーリングマップルで確認すると、
「ハングライダー場から浜名湖を眼下に望む感動ものの景色」
と記されている。
第一目的地は確実にこの場所だ。
ninjaから降り絶賛された場所へと近づいてみたら、
2019年にツーリングした場所の中でトップ3に入る、とんでもない絶景だった。
もう、写真を撮るのを忘れるくらいこの景色に陶酔してしまった。
風景を見て言葉を失う、そんな経験を貴方はしたことがあるだろうか?
「すごい!!」とか「綺麗っ」の一言でさえ発することができない。
景色が訴えかけてくるパワーに圧倒されすぎて、しばしその場から離れることができなかった。
県道に広がる柑橘の芳香
・・・さてと、時間を忘れるくらい立ち尽くしてしまった最高の場所をおいとまするとしよう。
地図をサイドバックにしまい、道に沿って心のままに進むことにした。
峠道を走り終え、県道68号線へと接続する。
一気に展望がひらけて「まともな道」に安堵した。
ミカン畑と山々に囲まれるかたちで民家が点在し、その間をうまい具合に新東名が貫いている。
甘酸っぱい柑橘の爽やかな香りが町全体を覆っているかのようだ。
走行風から、ミカンの匂いがヘルメットの中にどっと流れこんでくる。
天気も抜群なので、もう・・・
最高っ!!
県道から逸れて名もなき道へと入りこむと、ninjaでは厳しい悪路に辿り着いた。
この先はどうなっているのだろうか?
未知なる道を探索するために、ついついオフ車の購買欲が湧き上がってしまう。
Uターンして舗装路に復帰して、誰もこないような場所を探すとしよう。
袋小路にぶち当たりながら、離合が困難な小道をグングン上っていくと・・・
なだらかな段々畑が印象的な高台に辿りついた。
遠くのほうからは、新東名を猛スピードで走る車の唸ったエンジン音と、ミカン畑で作業しているおばちゃん達の笑い声が聞こえてきた。
ガードレールに寄りかかり、2つのBGMに耳を済ませ自然に身を任せる。
地図にも観光誌にも載っていない、たまたま出会えた場所だからこそ思い出深い。
さて、小腹も減ってきたので、そろそろ下界へと降りるとするか。
通り道に無人販売所があったので寄ってみる。
浜松の「三ヶ日ミカン」は全国的にも有名なのは言わずもがな。
1袋100円という料金設定だったので、ここぞとばかりに3袋購入した。
あぁ、はやく食べたい!!
鰻?我、野外飯敢行!!
浜松といったらウナギ(もちろん、ウナギパイも)
道路沿いにはウナギ屋さんの看板がいたるところに掲げられている。
ぼくもそれに従って名物を頂こうとしたが、道すがらに見つけたローカルなスーパーを発見した。
地元に特化したお店には、全国展開されたお店とは違った魅力がある。
お惣菜をいくつか買い、最初に寄った尉ヶ峰峠の駐車場へと戻ることにした。
着くやいなや、お惣菜を広げてムシャムシャ貪る。
あぁ、まじで美味い。
ノンアルで喉を潤し、アジフライを頬ばり、おにぎりをつまむ。
食後は三ヶ日ミカンで締める。
たまらんわ、あぁ、たまらん。
16時を過ぎると、あたりは徐々に日が陰ってきた。
夕陽が完全に落ちる前に峠を降りてしまおう。
そして、新東名の静岡SAで晩飯を食べ、千葉県の自宅へと向かうのであった。
静岡県は、伊豆や駿河湾沿いなどの海岸線を走るのもおもしろいが、山の中を探索する林道ツーリングもスリリングで刺激的だ。
関東からだと、浜松や川根路といった愛知県側の地域は距離があるのでなかなか足を運ぶことができないが、まだまだ知られていない魅力的なスポットが数多くあるので、時間を見つけては訪問していきたいなーーー
最後までご覧いただき、ありがとうございました。